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「秒速5センチメートル 感想」

2007/03/10 - イベント, レビュー
【感想】

旧サイトからの転載です。


先週から公開されていた「秒速5センチメートル」を観てきました。
以下、感想なんかを書いていきます(ネタバレあり)

今日は土曜日ということもあって混んでいるのかな?と思っていたのですが、
前売り券の交換などスムーズでしたね。
割とあっさりパンフレットなんかも買えましたし。

あと写真には撮ってませんがポスター3種も買ってたりします。

感想の前に断っておくと、自分は先行配信されていた「桜花抄」は見てません。
それを前提の上で読んでもらうといいかもしれません。

【第一話 桜花抄】

まず第1話「桜花抄」についてですが、
まず最初に思ったのは「相変わらず描写が凄いな」という事でしたね。
それは映し出される1コマ1コマがそれだけで1つの物語として成立するかのように。
このことは「雲の向こう、約束の場所」でも感じていたことですし、
サイト上でUPされていた壁紙からも感じていたことなので、
「約2年間待った甲斐があったな」と素直に嬉しかったです。

タカキとアカリ、2人の関係とそれを取り巻く環境の変化。
小学校卒業から約1年の時間とその間の手紙のやり取り。そして再会の日。
自分にとってこれら全てが昔の自分の体験と重なる部分が多くて「やられたっ」という感じなんですけどね(苦笑
作中に登場する小田急線をはじめとした各路線も自分にとっては馴染み深いですし。
新宿駅の気を抜けばあっという間に流されそうになる人の流れや、
大宮駅以降の建物の少なさに対するタカキの言葉とか、
そういった成長して大人になった今ではもう何とも思わなくなってしまったこと。
そんな細かな心情や描写を描ききれているのは、繰り返し行ったとされる緻密なロケハンの成果なんでしょうね。
描こうというものにブレがない。それ故に心に触れるものがあるのだと。

ちなみに個人的にツボだったのは大雪のためにある駅に停車することになった際、
座っていた男性がドア脇のボタンで開けっ放しになっていたドアを閉める所ですね。
これって都心部の路線だと考えられないことでしょうからね。
タカキが中学1年であることを考えた上でも、
それだけアカリに会うために「会いたい」という一心で遠くまで来たということですし。

待ち合わせ時間を大幅に過ぎてしまった駅の待合室での再会。
そこからのキスシーンまではただただ胸が締め付けられるばかりでしたよ。
あぁもう青臭いと一笑に伏してしまうのは簡単ですが、
自分にとってはそれを赦さないくらいの想いで身動き1つ取れないというか。

お互いが渡すことが出来なかった手紙と伝えられなかった言葉。
そういった経験って誰にでもあるだろうし、
この作品を通して新海監督が描きたかったものが見れた気がします。

まぁここまで絶賛してばかりというのもなんなのでちょっと気づいたこととか。
やはり連作ということで話のつながりを考慮した上でタカキの鹿児島への転校話があったのかな?と。
単純に1つの物語として考えればなくても良かっただろうしね。
まぁもちろんこの作品は連作ということなので必要なんですけど。
あとは目まぐるしく描写が切り替わる部分があったところでしょうか。
もっとよく見たいなと思う部分があったのでその辺りについては少し残念かな。
このことはDVDが発売されたら補完すればいいのですけどね。
冒頭で書いたように「1コマ1コマがそれだけで1つの物語として成立する」のですから。
まぁそれらを踏まえてもここまで大満足でした。

【第二話 コスモナウト】

鹿児島へと転校して高校生になったタカキ。そしてタカキを想うカナエ。
2人の微妙な距離感というのが何より見ていて微笑ましいです。
部活帰りにタイミングを合わせて偶然を装うカナエとかね。
コンビニ脇のベンチに座って取り留めのない話をする所なんて「あぁ高校生してるな」と。
自分も部活帰りには必ずといっていいほどコンビニに寄ってましたし、
カナエのようにタイミングを合わせて帰ろうとする友人の手助けとかしてましたから(笑

話を戻すと、タカキのほうはそんなカナエの気持ちには気づかずにアカリを想っている。
そして手紙のやり取りからメールに変わったのかと思えるような描写があり、
当初「ほしのこえ」のように途切れることなく(実際には距離の問題だけなのですが)、
タカキとアカリの2人は繋がっているのかと思いましたよ。
実際にはあて先のないメールを打つ癖なんだと知って愕然としましたけど。
こういったタカキの心理って自分にはわからないでもないのですが、
人によっては好き嫌いが分かれる部分でしょうね。
カナエの描写を見ていると可愛すぎるし可哀想ですし。
ただあれだけの体験をしたことを考えると、自分としてはタカキ寄りの思考になってしまうんですけどね。
もちろんタカキ自身もカナエを嫌いではないし、好ましくは想っている。
ただ「恋人」という関係に当てはめては考えることが出来ない。
そういった部分はやはり高校生なんでしょう。
周りから見れば滑稽なのかもしれませんが当人にとっては大事なこと。
不安定な心と関係を描いた物語と捉えるといいのでしょうね。
それら全てにおいて個人的には受け入れられるものでした。

風景描写に関しては当然のように満足でした。
丘の上から見た景色やサーフボードを抱えて海へと駆けていくカナエ、
そして打ち上げられるロケットを見上げる2人の物理的な距離と心の距離。
憧れやそれを見る人間の心までもが表現されているのは感心するばかりでしたね。
ただ幻想的なまでに描かれる景色が限りなく純粋に綺麗だと感じてしまって、
非現実的な印象すら与えている気になった部分があったのも付け加えておきます。

【第三話 秒速5センチメートル】

舞台は再び東京へ。大学を卒業して仕事に追われるタカキ。
大きなディスプレイを前にキーボードを叩くタカキの姿を見て、
ひょっとしたら新海監督自身がモデルなんじゃないかと思ったりしましたよ。

まぁそれはともかく、物語では大人になったタカキには恋人の存在があり、仕事もある。
この中でどういう風に前二話と繋がるのかと思っていたら別れ話を切り出されました。
やはりタカキの中ではアカリの存在というのが大きかったのでしょうね。
きちんと言葉にしたわけではないのだろうけど、心は何処か違う場所にあることに気づいていたのだと。
個人的にはよくそんな状態で3年持ったなと思ってしまったのですが(酷
ここでもやはり好き嫌いが分かれるのではないでしょうかね。
一途と捉えるかどうかで恐らく受ける印象が違ってくるでしょうし。
あと会社も辞めてしまう部分なんかについては、流石に自分としてもちょっとね。

タカキとアカリはもちろん連絡は途絶えたままですが、
場面が変わり、結婚を控えて荷物を整理するアカリには個人的に胸に来るものがありましたよ。
断ち切ったはずの思いに縛られたまま過去に残っていたタカキと、
幸せな未来へと歩き出しているアカリ。
つい最近似たような(厳密には違うけれど)気持ちになった人間にとっては、
この辺の描写は真綿で首を絞められるか、もしくは鞭に打たれるかのような、
非常に複雑な痛みを伴ってこそばゆい感情を刺激されるので。
(もちろんタカキと違って自分のは一時的なものですけど)

ただやはり2人にとっては「桜花抄」での雪の日の出来事は特別なものでした。
それを思い出したきっかけは「渡すことが出来なかった手紙と伝えられなかった言葉」
アカリの渡せなかった手紙については想像するしかないですし、
タカキが無くしてしまった手紙についても同様です。
もしそれがどちらか一方でも相手に渡っていたとしたら今頃はひょっとしたら……
そんな「選ばれなかった未来」について想像してしまうのは、
幸せな痛みを伴った感傷に過ぎないのでしょうけど。

ラストの踏み切りでのシーン。
秒速5センチメートルの速さで舞い落ちる、桜の花びらの中での奇跡的な偶然。
そのシーンに合わせて流れる主題歌「One more time,One more chance」。
公開までの年月で溜まっていた想いが胸に染み渡った瞬間でした。
うん、やはり待っていて良かったと。

以上、観た直後から感じたことを書いたメモをベースとしてまとめたのですが、
正直読み返すと恥ずかしいだけですね。消さないですけど。
書きながら↓コレ聞いていたのも大きいかと思います。

特にトラック2に収録されている「雪の駅」。
エンドレスで聞いていると物語の余韻に浸れること間違いないので是非。

というわけで感想でした。
後で加筆するかもしれませんけどね。

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小説・秒速5センチメートル (AA)

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